第19回定例研究会

外国人適性雇用プラットフォーム
定例研究会報告

第19回(1月19日)

この回は、関西国際大学客員教授・毛受敏浩氏「外国人受入れ新時代の課題と展望」として講演していただきました。
日本社会が本格的な人口減少局面に入る中で、外国人受入れ政策が「一時的労働力確保」から「共生社会形成」へ転換点を迎えていると指摘され、場当たり的な受け入れではなく、移民受け入れの原則を明示する「外国人基本法」の制定が必要と提案されました。

講演では、まず在留外国人数が2024年末時点で約349万人に達し、日本人の減少を補う形で増加している現状が示された。一方で、日本社会は長年、外国人を「定住しない存在」として扱ってきたため、日本語教育、子どもの教育、雇用制度、地域社会の受入れ体制が十分整備されないまま外国人の増加を迎えたと分析されました。

外国人雇用の実態としては、外国人労働者の平均賃金が日本人平均を下回り、派遣・請負比率も高いことが紹介された。特に技能実習や特定技能制度では低賃金依存構造が残っており、「景気調整弁」としての雇用から脱却できていないことが課題として挙げられました。また、介護現場で働く外国人の声として、「重要な仕事を任せてもらえない」「日本語や組織文化への適応に苦労する」といった実態も共有されました。

教育分野では、日本語指導が必要な外国籍児童生徒が増加する一方、高校中退率や非正規就職率が高い現状が示され、外国ルーツ青少年への教育支援不足が将来的な社会分断につながるリスクとして指摘されました。

その一方で、地方自治体や経済界では外国人受入れを前向きに進める動きも広がっています。群馬県や高知県などでは、多文化共生や「外国人に選ばれる地域づくり」を掲げる政策が進み、経団連・経済同友会・日本商工会議所も、外国人を「共に社会を支える人材」と位置付ける提言を行っていることが紹介されました。

政府政策については、2018年の入管法改正による特定技能制度創設以降、「共生社会」政策が進展してきたが、近年は治安・秩序を重視する議論が強まっていることも紹介されました。2025年以降、「外国人との秩序ある共生社会」を掲げる政策が推進されているが、毛受氏は「秩序」だけが強調されれば排外的イメージを助長しかねないと懸念を示されています。

今後必要な政策として、①公的責任による日本語教育の充実、②外国ルーツ青少年への教育保障、③外国人の正社員化と適正雇用、④地域社会における異文化理解促進を提言されました。その上で、日本は欧米のような国境危機型の移民問題が起こりにくく、多文化共生の蓄積もあることから、「排外主義を否定した上での秩序ある共生社会」を構築できる可能性は高いと総括しされました。
外国人材を単なる労働力としてではなく、日本社会を共に支える存在として位置付け直し、制度・教育・雇用の各面で受入れ体制を再構築する必要性