第1回定例研究会講演「インドネシアにおける労働移民送出の制度と実態」

2024年5月20日にAndi Holik Ramdani (アンディ ホリック ラムダニ)さんに「インドネシアにおける労働移民送出の制度と実態」のテーマで発表を行っていただきました。

 私たちのこの3年間の研究活動の基礎となる、インドネシアにおける移民送り出しの制度と現状に関する詳細なレポートをいただきました。

 インドネシアから日本への移民送り出しの歴史は長く、技能実習制度の前の「研修生」の時代から漁業をはじめ各分野への移民が続いてきています。中国やベトナムという大量に移民を送出してきた国と比べると存在感が薄かったという経緯がありますが、現在は相対的に大きな割合を占めるようになっています。

 アンディさんはこうした移民の送出を管轄するインドネシア諸官庁の仕組みやLPKと略されるインドネシア政府からライセンス認証された技能実習生取り扱い団体や、技能実習生送出機関(SO)として認可された団体などの仕組みと現状を報告されました。

 日本では技能実習生が廃止されようとしている中でインドネシアのLPKがどのような反応をしているかであるとか、ベトナムで利益を上げられなくなったブローカー資本がインドネシアのLPKを買収したりする問題など、様々な現状が報告されました。

 日本側の制度設計が不十分なために様々な不正行為が誘発されるなどの指摘もあり、たいへん興味深い講演会でした。

  • 開会日時:2024年5月20日15時
  • 会場(対面):公益財団法人西成労働福祉センター
  • オンライン参加:zoom ID 8078872401
  • キーノートスピーチ

「インドネシアにおける労働移民送出の制度と実態」

スピーカー:Andi Holik Ramdani (アンディ ホリック ラムダニ)

  • 講師プロフィール

ソシエタス総合研究所研究員。

東北大学大学院人間科学専攻·宗教学研究室で博士号を取得。インドネシアにおける移民政策と制度を考察しながら、インドネシアにおける日本への送り出し機関や在日インドネシア人労働人材の実態についての研究を実施する。

Universitas Pendidikan Indonesia (インドネシア教育大学)の日本語教育学部を卒業後、金沢大学日本語・日本文化研修プログラムへの交換留学プログラムに参加して日本におけるマイノリティーとしての外国人に興味を持ち、東北大学大学院に進学する。日本の国立・私立大学における宗教的マイノリティーの留学生への対応を考察しながら、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の各大学における他宗教の学生への対応について研究を実施。同時に、在日インドネシア大使館や宮城県国際化協会(MIA)など宮城県の自治体とともに県内の多文化共生推進及び異文化理解活動、インドネシア人労働人材へのサポートや地域社会との相互理解を構築するための活動に加わった。

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