第13回定例研究会「外国人在留資格制度が依拠するジョブ型雇用とはなにか?知らないと困るそのしくみを考える」報告

5月19日に外国人雇用適正化プラットフォームの第13回定例研究会が開催されました。

今回は「ジョブ型雇用」をテーマとする発表と、インドネシアにおける就労希望者意識調査(1-SR-A調査)の継続分析の報告でした。

まず統括研究担当の鍋島からジョブ型雇用と外食産業での可能性について60分の報告がなされました。

濱口桂一郎氏の著作『ジョブ型雇用社会とは何か』でも指摘されているように、外国人の在留資格制度は不思議なことに日本では一般ではないジョブ型雇用システムを前提に構築されており、これが日本社会のメンバーシップ型雇用原理と様々なコンフリクトを起こしています。そのもっとも深刻な影響は、就労者本人に雇用機会とキャリアアップ機会を狭め、外国人労働者のキャリア形成を阻害する原因となっていることです。そのため、履歴の詐称など入管審査をクリアするためだけのコンプライアンス違反があとをたちません。

一方、日本社会も終身雇用というメンバーシップ型雇用の最重要原理が崩壊して「非正規」という名の企業ごとに構築されたメンバーシップ型キャリアアップシステムから除外されてしまう就労形態が多数を占めるようになっています。

外食産業ではさらに、アルバイト待遇であっても「店長」という、事実上のジョブ型雇用システムがすでに業界標準と言ってもよい状況となっています。必要な職種に応じた雇用条件の提示というジョブ型採用は外国人の在留資格制度とも相性はよいと考えられます。

しかし経営者も日本人従業員も支配的な原理であったメンバーシップ型のメンタリティを強く保持していることから、上下関係や同僚関係、評価や昇進において「スキル」ではなく「忠誠心」や上司や先輩への服従など、外国人には理解されにくい、またハラスメントにつながりやすい文化を有していることは確かです。他方、伝統的な職場の一体感や企業へのアイデンティティなど日本型の職場文化をどう考えるのかという課題も残されています。

こうしたことを整理する上で、外国人雇用の推進は大きな役割を果たしていくものと考えます。