第22回定例研究会(後半)

外国人適性雇用プラットフォーム
定例研究会報告

第22回(4月20日)後半

第22回定例研究会の後半は、特定技能外食分野における在留資格認定証明書交付停止措置に対してどう考えるかの議論が行われました。
まず鍋島より、外国人適正雇用プラットフォームによる「特定技能外食分野における在留資格認定証明書(COE)の一時的交付停止措置」に対する問題提起案が提示されました。

まず今回の停止措置が制度目的そのものと矛盾していると指摘していまず。特定技能制度は、本来、深刻な人手不足に対応するために創設された制度であるにもかかわらず、人手不足が最も深刻化している時期に新規受入れを停止することは、制度趣旨との整合性を欠くとしています。厚生労働省の2025年上半期雇用動向調査では、宿泊業・飲食サービス業の未充足求人は約22万人、欠員率は全産業中最高水準であり、外食産業の労働力不足は過去最悪水準に達していると説明されている。また、飲食店倒産件数も過去最多となっており、今回の措置は中小零細飲食店にさらなる負担を与える可能性があると論じました。

次に、政府が受入れ停止の根拠としている「受入れ見込数」の計算自体に誤りがある可能性が指摘されている。資料では、外食分野の就業者数について、繁忙期である12月時点の人数を基礎としており、平均的就業者数との差が約7万人存在すると主張しています。また、受入れ見込数は本来「5年間の政策的見積り」であるにもかかわらず、それを途中段階で機械的な上限として扱うのであれば、離脱者数や転職・更新との関係を含めた再計算根拠を示すべきであると述べています。

法的観点からは、今回の措置が入管法の委任範囲を超えている可能性が論じられています。入管法7条の2第3項・第4項は、本来COE交付停止を想定した規定である一方、今回の通知では在留資格変更許可申請や「特定活動(特定技能移行準備)」への変更まで原則不許可としている。この点について、法的根拠を超えた運用ではないかとの疑義が示されています。

さらに、過去の制度運用との不整合も指摘されています。2022年に産業機械製造業分野でCOE交付停止措置が行われた際には、在留資格変更や更新は引き続き認められていたとされるため、今回の外食分野だけがより厳格な運用となっていることについて、裁量の合理性や平等性に疑問があると述べています。

また、告知期間が極めて短いことによる影響も強調されています。通知は2026年3月27日に公表され、4月13日施行予定であり、実質的な準備期間は17日程度しかない。これにより、既に進行していた採用活動、試験受験、日本語教育、渡航準備、住居確保、店舗人員計画などに重大な損害が発生すると指摘しています。特に、外国人本人の学習費用やキャリア計画の崩壊、日本企業側の採用・教育コスト、地域経済への悪影響などが具体例として挙げられています。

加えて、今後想定される副作用として、既存在留者の引き抜き競争、虚偽求人、違法ブローカーの増加、他在留資格の濫用、地方から都市部への人材集中などが懸念されている。新規受入れを停止しながら既存在留者の転職は認める構造となっているため、結果として雇用秩序を乱す可能性が高まると分析しています。

最後に資料では、政府が形式的に「受入れ見込数」を維持することだけを優先し、実際の人手不足対策や地域経済維持、適正雇用、共生政策といった実質的公益を損なっていると結論付けている。その上で、今回の停止措置については撤回または凍結を行い、十分な経過措置と再計算に基づく制度見直しを実施すべきであると提言しています。
この報告を受けて、今後どう対応していくべきか、また予定していた経営者向けアンケート調査の実施に意味がなくなってしまうことなど、懸念事項が話し合われました。


現時点での成果・発見・感想など

第1に、2024年末から実施したアンケート調査の集計作業が想定外に骨が折れる作業で、研究者チームはとても疲弊しました。体制をたてなおして、インタビュー調査の結果も踏まえた最終的な提言へと進んでいかねばならないと考えています。ただこれは、想像以上に豊富な情報を得たということでもあり、大きな成果だとも言えます。

第2に、育成就労制度の導入が1年後に迫る段階でこれまでの調査研究によってミスマッチ構造の理解がすすみ、制度のなにが問題となるかがよりよく理解されると感じています。私たちは転職制限期間の設定自体が人権侵害と考えていますが、農水省の説明では転職制限こそ人権の保護という考え方が示され、認識の違いが浮き彫りになってきました。日本には存在しないジョブ型雇用慣行で無理な在留資格設計、「地方の保護」という建前、「低賃金労働力の安定確保」という本音が錯綜する中で、業界団体がどのような倫理的なポジションをとるのかが問われています。

第3に、このような議論が進んでいるさなかに、3月27日に突然発表された外食分野のCOE新規申請中止の決定に受けています。私たちがいまどのように行動すべきか、とまどうところです。昨年12月の経営管理ビザの改悪に続き特定技能外食の停止と、日本の外食業界のグローバル展開の根幹を揺さぶる制度変更が、外食業界のなんらの合意もコミットもないまま進められるところに、私たちの力のなさを感じています。