第22回定例研究会(前半)

外国人適性雇用プラットフォーム
定例研究会報告

第22回(4月20日)前半

第22回(4月20日)前半
この回は前半と後半で異なるテーマで研究会が行われました。
前半は農林水産省外食・食文化課課長補佐藤田将史氏による「育成就労制度について」の説明会です。育成就労制度は、従来の技能実習制度を見直し、外国人材を計画的に育成しながら特定技能制度へ接続することを目的として創設される新制度であり、2027年4月1日の施行が予定されています。本制度の概要と制度改正の方向性について整理したものです。

制度全体の構造としては、「育成就労(3年間)」から「特定技能1号(5年間)」、さらに「特定技能2号(在留期間制限なし)」へと段階的に移行する仕組みが示されました。就労開始時には日本語能力A1相当(JLPT N5程度)が求められ、育成就労終了時にはA2相当(N4程度)、特定技能2号ではB1相当(N3程度)まで段階的に能力向上を図る制度設計となっている。技能面でも、育成就労期間中に技能検定基礎級や特定技能1号評価試験への合格が求められます。

今回の制度改革では、外国人雇用を「単純労働力確保」ではなく、「人材育成」と「キャリア形成」を重視する方向へ転換する姿勢が明確に示されました。従来の技能実習制度に存在した「職種・作業」区分は、「分野・業務区分」へ変更され、より実際の業務に即した柔軟な運用が可能となる。また、従来の「関連業務」「周辺業務」の区分は廃止され、業務区分内で幅広い業務に従事できるよう見直されています。

対象分野については、外食業、農業、飲食料品製造業、林業、漁業などを含む17分野が育成就労制度の対象となり、特定技能制度全体では19分野が設定されています。外食業分野も正式な対象分野として位置付けられ、慢性的な人手不足への対応策として外国人材受入れの重要性が強調されました。令和11年3月末までの受入れ見込み数は、特定技能1号が約80万人、育成就労が約42万人、合計約123万人とされています。

制度運用面では、日本語教育の強化が大きな柱となっています。育成就労実施者には、A1相当講習およびA2目標講習を提供する義務が課され、認定日本語教育機関による100時間以上の講習受講が求められます。オンライン受講も認められますが、双方向性を備えることなど一定条件を満たす必要があります。さらに、入国後講習では、日本語だけでなく、日本での生活知識、労働法令、法的保護に関する教育も必須とされています。

また、外国人保護の観点から、送出機関や監理支援機関に対する規制強化も導入されます。外国人本人が送出機関へ支払う費用については、「月給2か月分以内」という上限が設定され、不当な借金負担の抑制が図られます。加えて、監理支援機関には財務健全性や外部監査体制が求められ、制度の透明性向上が図られています。
さらに、従来の技能実習制度では原則認められていなかった「本人意向による転籍」が、一定条件のもとで認められることとなりました。転籍制限期間は原則1年から2年とされ、日本語能力や技能試験の合格が条件となります。これは、外国人材の人権保護と労働市場の適正化を意識した制度変更であると説明されました。

報告全体を通じて、育成就労制度は、日本の外国人雇用政策を「低賃金労働力依存型」から、「職務・技能・日本語能力に基づくジョブ型人材育成モデル」へ転換する制度改革であることが示されました。特に外食業界においては、外国人材を補助的労働力としてではなく、中長期的な人材として育成・定着させる視点が今後ますます重要になると考えられます。